地域活動デザインスタジオ2021最終講評会!

  • 地域活動デザインスタジオ

2021年10月10日に、地域活動デザインスタジオの最終発表会が行われました!
地域活動デザインスタジオは、IEDPのスタジオの中でも特に実践を重視したスタジオです。
学生は地域の課題を分析し、それに対する提案コンセプトをもとに地域の方と企画を立てて実践し、
そこからさらに将来へ向けた提案を行います。
今年度も、柏市の空き地活用制度に登録されている2つのカシニワを対象に、
6名の学生が2チームに分かれて企画・提案・実践を行いました。
今年度の対象地は、「ふうせん広場」と「大青田の森」です。
最終発表会はふうせん広場で行われ、社会福祉協議会の集会にお邪魔する形で、
約20名の方にご参加いただけました。

ふうせん広場周りの人が身近に感じられる広場・多世代交流の場へ!
ふうせん広場チームは、この広場を多世代交流の場に、また地域の人にとって身近な空間とするために、
子どもたちを巻き込んだ「ふうせん砂場」づくりと、「青空教室」と題して花壇整備・看板制作、
すいか割りを実践しました。
子どもたちが愛着を持ってくれるように、自分たちで選んだ花苗を植えたり、砂場の看板作りを企画。
青空教室では十余二小学校にご協力いただいて、全校児童にチラシ配布も行えました。
これらのイベントに参加してくれた子どもたちは、「次はいつ?」と聞いてくれたり、
大青田でのイベントが終わった後に「ふうせん行こうぜ!」と声を掛け合う様子が見られたというエピソードも。
花壇やイベントなど、継続的にこの場に足を運ぶ仕掛けとともに、
地域の皆さんへ向けては町会のイベントをふうせん広場で行うことも提案されました。

発表後の質疑・意見交換では、囲碁将棋や俳句など、「地域のサークル活動をこの広場でやってみては?」という
話が住民の方から挙がったり、イベントの際に草刈りに夢中になったお父さんのお話、
子どもたちが砂場作りで20kgの砂袋を持ち上げられたことをずっと自慢していることなど、
場を作ってくれたことが嬉しかったという感想をいただきました。
他にも「花壇の水まきを近隣の人に頼んでみれば良い」という提案もあり、
今回のスタジオでの活動が地域の方の関わりを引き出すきっかけとなったようです。

大青田の森里山をもっと身近に感じ、好きになる仕掛け
ふうせん広場からもほど近い大青田の森は、NPO法人ちば里山トラストが管理されており、
月に2回の活動日に里山の維持管理が行われています。
学生たちはNPOへのインタビューから、「メンバーの高齢化にともなう継続的な担い手が少ないこと」を課題として捉えました。
さらに地域の住民の方にアンケートを行ったところ、2週間ほどで95件もの回答が!
この内容を踏まえて、NPOが管理する大青田の森を知ってもらうことを目的に、
看板制作と子ども向けのイベント「里山探検隊〜葉っぱで遊ぼう」を実践しました。
イベントでは、森での楽しかった気持ちを、子どもたちが思い出すきっかけになるよう、
自分たちで見つけた葉っぱでしおりを作りました。
学生たちの予想以上に、子どもたちはどんぐり、栗、虫採りに明け暮れ、
生き生きと自然の中で過ごしていたそうです。

質疑・意見交換では、住民の方から「里山は大事でもっと触れ合いたい」という気持ちもある一方、
NPOの管理区域は私有地であり、自由に入れないようになっている・・というジレンマが指摘されました。
開放日がわかりづらいことも一因となっているため、「今回設置した看板で少しでも緩和できれば」との受け答えもありました。
また、今回学生が大青田に着目したことで、地域にある桜の木を手入れする刺激をもらえたという
エピソードもあり、地域の方が動くきっかけを作れたようでした。

鈴木亮平先生からは、身軽にチャレンジできるという空き地の可能性を利用して、
地域の人と試し続けていくことの大切さ・楽しさについてお話いただいたほか、
ふうせん広場のように外から見える空き地は活動を地域に開き、
通りがかりの人との交流も生まれるという利点があるということ。
また里山については、トラストと地域住民の方をつなぐ必要があるということを踏まえ、
手入れが必要な自然に対して、身近な緑をどう大切にしていくのか、
「緑に対する文化を作っていく必要がある」とお話しいただきました。

半年に渡って続けられた今回のスタジオ。
学生の皆さんが地域の方との顔の見える関係を築きながら、その地域の方や子どもたちに向けてじっくり話し合い、空間制作、企画提案、実践までを丁寧に考えた過程が伝わる最終発表でした。
発表会の後、西原地域支えあい支援員の方のコーディネートで、ふうせん広場でやってみたいことについて、
参加者の方からポストイットを使って話し合う場面もありました。
今回のスタジオの成果が、地域の活動を後押しすることになったことが感じられて、晴れた空の下、
見ているこちらも嬉しくなる発表会でした。
地域活動デザインスタジオの皆さん、お疲れ様でした!
最終成果物は地域活動デザインスタジオのページから確認できます。

(柏原)