浪江町を想う企画へ向けて|情報環境デザインスタジオ2021、中間発表会!

  • 情報環境デザインスタジオ

11月29日に、情報環境デザインスタジオの中間発表会がありました。
今年度の情報スタジオでは、5名の履修生が提案作成を進めています。

テーマは昨年度に引き続き「忘却に抗うメディア表現」。
昨年と大きく違うのは、浪江町への現地調査が可能になったことです。
12月の現地調査を前に、学生の皆さんはこの2ヶ月、
小林博樹先生から浪江町の現状や抱えている課題についての講義、
佐々木遊太先生からの一連のメディア表現の知識・演習を受けて、この時点での企画を中間発表しました。
発表後には、佐々木先生やクラスメイトと話し合いながら、企画の方向性をよりはっきりさせるため
「一言コンセプト」を検討しました。

中間発表で出てきた提案は以下の5つです。

「浪江町へようこそパネル」
「場所や時を超えて、自分の分身を町に残す」というコンセプトをもとに、
町のことを思う住民、浪江町を盛り上げたい住民、初めて浪江町に立ち寄った人など、
町に住んでいてもいなくても、町を思う人同士、知らない人と
匿名のコミュニケーションする自分の一部を残すという提案です。
一言コンセプトはそのまま「自分の分身を町に残す」。
自分の「分身」とはどのようなものなのか?から、さらに発想が広がっていきそうです。

「帰還できない」事実を忘れない
浪江町の全域に目を向け、その場所を色々な人が気にかけていることを表現し、
外部からのコミットを蓄積していく方法についての企画です。
ウェブサイトにアクセスすると、その時刻の景色がスナップショットで撮影される、
その様子を集めることで、見せかけの復興でもない、また帰れない悲壮感のどちらにも振れない画を作れるのではないか。
また、働きかけが1周で終わらない仕組みとなるのではないか。
課題意識に基づいて話し合い、決められた一言コンセプトは「景色を集めて景色をつくる」(仮)。
これからどのように発展していくのでしょうか。

人の力を借りるインタラクション」
震災前の人がいた時、人の暮らしが止められ、これから再び人が暮らしていく、という浪江町の時の流れに着目し、
これからの時の流れを進めることへ、さまざまな人の力を借り、参加してもらう企画です。
発表では、時の流れを連想させる「水」を使い、水飲み場に立ち寄った人が水を汲んだり
流れを起こしたりすることで、桜が徐々に咲いていく表現をする企画が提案されました。
一言コンセプトは「人々の力を借りるインタラクション」「みんなで映像を育てる」(仮)。

「毎日、誰かの心を聴く」
ただ「Yo」を送り合うアプリの心地よさにヒントを得て、
シンプルで抽象的なコミュニケーションをテーマに発想された、浪江町に置いた鐘を遠くから鳴らす仕組みです。
一言コンセプトは「毎日、誰かの心を聴く」「1タップで思いやり合う」。
昨年度の議論の中でもキートピックになった、通信量は少なく、何かを伝える「抽象的なコミュニケーション」、
持続的なコミュニケーションを実現しようとする、時流に乗った企画です。

「浪江町ご当地VTuber」
「浪江町民みんなが宿る」VTuberを作るというコンセプトで、町の人々の現地の声・思いを届ける、
多人数で1アバターを使い回すVTuberを新しく企画することで、町への注目を集めることを目ざす企画です。
検討を経て出てきた一言コンセプトは「アバターに町を宿す」。
ここからさらに、「町」として何を宿すのか?の発想が楽しみです。

同じテーマでも、昨年度とはまた違った観点・内容の企画が出揃いました。
この中間発表の2週間後に、学生の皆さんは現地調査に行く機会がありました。
現地の様子を肌で感じて、ここからは企画のブラシュアップに加えて実装も進められていきます。
いずれの提案も検討の密度が高く、最終発表でどのような企画・メディアに発展していくのでしょうか。
プロトタイプを見るのがとても楽しみです!