柏の葉イノベーションキャンパス地区の未来像|都市環境デザインスタジオ2021公開講評会!

  • 都市環境デザインスタジオ

2022年1月22日(日)、今年度の都市環境デザインスタジオの公開講評会が開催されました。
今年度は柏の葉キャンパス駅から徒歩10分ほど北に行った場所にある、
「柏の葉イノベーションキャンパス地区のアクアテラス、T-SITEに隣接する街区を対象に、
「郊外の新しい街区デザイン」を提案することが課題です。
住む、働く、楽しむ、いろいろな要素が混ざり合い、イノベーションを起こすことができるような空間デザイン、そしてポストコロナ・ウィズコロナを意識した新しいくらし方を考えてきました。
街区のデザインと、住う場所や働く場所など個別の空間のデザインを行なっています。
今年も東京大学、東京理科大学、千葉大学、筑波大学の混成で5チームが結成され、水、生活のうるおいとしての不要不急、パフォーマンスアート、ライフサイエンス、クラフトビール!と多様なテーマでの提案活動に取り組んできました。

それでは各班の提案を見てみましょう。

1班 水耕都市 The Water Cultivated City

アクアテラスやこんぶくろ池などの「水」に着目し、柏の地質特性の調査分析を踏まえて、水の流動・変化する性質を軸に、水をきっかけとする敷地の変化、街の変化、生活の変化を構想しました。敷地内で涵養した水が、生活動線、自然を引き込む、など異なる機能を持った5つの水路を通って、まち中だけでなく地形に沿った形状の共同住宅・商業施設の中もめぐって行きます。梅雨時には屋上から溢れ出した雨水が水のカーテンとなって水路に落ちていくなど、生活の多様な場面で多様な水との接点を町中に作り出します。

2班 日常にシカケを Life with Gimmicks -Life with White Space-

コロナ禍の生活で「不要不急な活動は、日常にうるおいを作っていた」という気づきをきっかけに、”White Space”と名付けた多様な大きさ・多様な用途の空間をまちや建物のあちこちに散りばめて、日常生活にうるおいをもたらしていく提案です。今回の提案では、特に一人でゆっくり過ごせる「隠れ家」、イベントや仕事の合間の休憩などの「コモンズ」的な機能にフォーカスしました。住宅・商業・事業機能をまち全体・個々の建物レベルでも混在させつつ、ミニシアターやフリースペース、趣味部屋などのwhite spaceを入れ込むことで、生活の中でまちなかに自分のお気に入りの場所を作り出すことを目指しています。

3班 みちでひろがり、ひろばでつどう、職・住・楽 Daily Entertainment Studio Kashiwa-no-ha

コロナ禍で自宅周辺で過ごす時間が増加し、地域コミュニティの必要性が増加しています。さらにSNSやYouTubeなどにより日常とエンターテインメントの距離が近くなったことに目をつけ、エンタメと職住一体の生活空間を共存させることを目指す提案です。地区内に交流の軸、緑の軸を設定して、職場、住宅、娯楽の3エリアを配置し、それぞれの機能に応じた広場を中心に、日常生活の中でエンタメと出会い、体験する場面を作り出して行きます。柏駅周辺で推進されているストリートパフォーマンスの取り組みや、周辺のエンタメ施設との連携も構想しました。

4班 健やかに集う 柏の葉 Healthy and Gathering in Kashiwanoha

柏の葉のライフサイエンス拠点としてのポテンシャルを生かし、健康系企業を誘致して、既存の研究機関、団体との相互作用、住民との接点を整備することで、住民・研究者・企業の交流の中からイノベーションを起こすことを目的とする提案です。地区の南側は既存商業と一体となったオフィス、アクアテラスの周辺は商業エリア、西エリアは緑地のある住宅・福祉としてゾーニングし、各機能が滲み出し交わる場所として中央を「共創・体験エリア」として、健康系企業のオフィスやランナーズステーションなどの健康拠点である共創棟を配置しました。公園やアクアテラス周辺など、拠点をめぐる空中歩廊のランニングロードを走ったり、暮らしの中で健康体験をすることで、健康データを提供したり、さらには共創棟での研究者・企業と住民の交流を通して、新しい健康サービスの開発などイノベーションにつなげていきます。

5班 つながりを醸すまち The Town that Brews Connections

田畑、果樹園、ブルワリーなど、フードチェーンに関わる要素から、柏の葉でビールを作り、ビールで繋がるコミュニティと施設を提案しました。仕組みをデザインする団体IDCB(Innovation Design Center with Beer)を中心に、多様な新規住民、大学や研究機関、田畑・果樹園・ブルワリーを、ビールで結びます。ビールの最低限生産量から、ブルワリー、ホップ農園、学生寮、ホテル、オフィス、物販などの建築要件を定義し、建物を配置しました。IDCB内のシェアオフィスでの仕事の合間にホップ栽培、新作ビールの試飲会、ラグビーのパブリックビューイングなど、ビールを介して繋がる新しいコミュニティを描いています。

先生方からのコメントでは、プレゼンテーションの仕上がりへの評価が高かったです。
このレポートではお見せできないのが残念ですが、水のせせらぎを背景音に使ったり、
市民の方への呼びかけを意識した導入の仕方、イメージが伝わるような絵の使い方や説明など、工夫が凝らされていました。
回を追うごとにどんどんクオリティが上がっていったというコメントも多く、
先生の講評に対して、学生の皆さんが真摯に取り組んだ様子がうかがえました。
市民の方からは提案に対する素朴な疑問や感想を、
柏市の方からは、行政の立場で整備するなら気になるところなど、現実に即した内容、
三井不動産の方からは、現在まさに進められているまちづくりとリンクする部分などについてコメントいただきました。

今年度の提案では、これまでの都市スタジオではあまり見られなかった人・組織(パフォーマー、健康系企業)や要素に特化した提案がお今割れていたのが興味深かったです。新しい人や要素を取り入れることで、既に住んでらっしゃる住民の方とどう接点を作るか?生活がどう変わるのか?という想像が膨らみました。

学生の皆さん、3ヶ月間の提案作成+1ヶ月のプレゼン準備、本当にお疲れ様でした!!

(IEDP事務局:柏原)