12月22日に行われた、都市環境デザインスタジオの学内最終講評会のレポートです。
10月から始まった都市環境デザインスタジオ、11月の中間後、4度のエスキスを経てついに学内最終講評の日になりました。
今年度は初めて模型が免除され、プレゼンテーションではパースや3Dモデルなどが中心になりました。
グループ1|with Mobility〜道とともに再編される生活〜
完全自動運転が実用化した2040年のモビリティがあるまちの姿を想像し、高齢者・子育て世代の移動を支える次世代モビリティを使った交通網を提案しました。
柏の葉北地区全体の道路を徒歩・パーソナルモビリティ、スローモビリティ、自動車の受け入れ度合いでレベル分けし、正蓮寺集落など4地点で空間像の詳細設計を行いました
グループ2|「2×3」〜ものづくりを通した住工共生の暮らし〜
町工場と地域住民の分断感をなくし、道具・空間・技術をシェアすることで、二次産業とセカンドプレイスから、三次産業(サービス)とサードプレイスを生み出し、町工場と住民、町工場同士の交流につなげようとする提案です。
軽やかな建築ユニットを組み合わせながら、町工場が作るものとの関連で様々なプログラムを提供し、ものづくり文化を地域に根付かせることを目指します。
グループ4|1km農道〜21世紀型都市農業の提案〜
柏の葉キャンパス駅から柏たなか駅までの1kmの高架下を中心に、実験的な都市農業の取り組みを入れ込みながら、4区間に分けた周辺地区の要素と融合する新たな公共空間の創出を目指す提案です。
2階のデッキ部分を1kmつなげることの実現性は問われますが、地上階とデッキを大階段でつなげてできる人の溜まり空間はとても魅力的です。
グループ5|レンタル集落〜まち全体を賃貸する暮らし方〜
正蓮寺集落や野馬土手の持つ歴史的要素にインスピレーションを受け、「歴史」「住民参加」、
そして次世代への引き継ぎへ向けて「賃貸」というキーワードを追加することで、まちの構成要素をパッケージ化し、まち全体をレンタルする仕組みを提案しました。
レンタル離れ=賃貸住戸、レンタル母屋=コミュニティ拠点、レンタル野馬土手=共通の庭、レンタル生垣=コミュニティ単位、などの読み替えは、今後のアイディアの広がりも予感させます。
グループ6|自然を纏い、フクロウと住まう
鳥に照準を合わせ、フクロウにこだわり抜いた斜面緑地〜1号調整池周辺エリアを対象とした提案です。
エスキスでは「フクロウ怖くない?」や「人は心地良いの?」といった指摘を受け、最終では人の暮らしもイメージしながら、フクロウと共生する新しい暮らし方のイメージを示しました。
ふくろうの営巣地の基準となる樹冠率から敷地をゾーニングし、3パターンの戸建て住宅と集合住宅を設計しました。
各グループ、前週の段階での進捗はまちまちで、図面がなかったところも見られた中、今回の学内最終講評では全てのグループが物すごい飛躍を見せました。
いずれの先生方もその頑張りを高く評価され、総評では「本当によく頑張りました」「面白かったです」「提案がいずれも粒揃い」「楽しかった!」といったコメントが続々でした。
一方で、オンラインになって模型による議論ができなかったこと、現地に頻繁に行けないことでスケール感がなかなか捉え切れなかったことへの危機感も指摘されました。
図面や模型よりも言葉を使った議論が多くなったことで、コンセプトワークに時間を掛けられたのは良かった点かも知れません。
毎年、講評会前はだいたい徹夜で、発表後は疲れ切って寝ている人も続出ですが、今回はオンラインで学生の皆さんの顔が見えない分、画面の向こう側で昏倒している人もいるのじゃないかと(笑)先生方も心配されていました。
学生の皆さん、本当にお疲れ様でした!!
年明けはさらに提案のプレゼンテーションをブラシュアップして、1月23日(土)に市民の方をお招きする一般公開講評会へ向けてのラストスパート。
今年度は公開講評会も、オンラインでの開催が決まっています。
(柏原)