4月23日の統合環境デザイン論 第3回、前回に引き続き、電通国際情報サービス(ISID)オープンイノベーションラボのお三方をお招きした講義のレポートです。
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統合環境デザイン論を履修している皆さんへ
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4月23日に出した「課題」(①「自分ならこうする/こうしたい」、②第2回・第3回講義の感想)について補足連絡です。①について、これがそのまま今回の共同研究「社会実験構想学」に乗ると誤解させてしまったかも知れませんが、社会実験構想学はスタジオでの提案を実現しようとするものです。スタジオ外の枠組みで得られたアイディアにイノラボさんが関心を持たれた場合には、共同研究の範囲外で行うことになります。誤解を与える言い方をしてしまい、申し訳ありませんでした。合わせて誤解を招く表現になっていたため、前回の統合環境デザイン論2回目記事も修正しました(2020/04/25)。なおスタジオでの提案は、スタジオ終了後に共同研究の枠組みで実現へ向けて企画を進めることを積極的に考えていきますので、講義でのインプットも参考にしながらぜひ頑張ってくださ。
また、今回の課題は採点対象にはなりませんが、何らかの形でフィードバックをいただくようにしますので、提出者には追ってお知らせします。(IEDP事務局・柏原
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4月23日の第3回 統合環境デザイン論。前回に引き続き、渋谷謙吾さん、岡田敦さん、藤木隆司さんにお越しいただきました。
今回のテーマは、「私の企画の立て方」。
まずは渋谷謙吾さんから、テクノロジーの持つ価値起点の考え方を、ロボットを例に説明してもらいます。デジタルをアップグレードするテクノロジーに着目し、それがどんな課題を解決するのかを考え、当てはまる具体的な課題を見つけるという渋谷さん。「ロボット」が持つ価値は、駆動系があり、動きを発生させる仕組みそのものであるということから、「動かないとできないこととは?」「まだ動いてなくて動いたらいいものって何?」を考えて行き、着目したのは家具。さらに家具が動いて解決できる可能性のある課題-地震で人を避ける家具、守る家具など-を発想し、「価値がある!」と思えたら、プロトタイピング、そこからさらに実現する上での課題を発見、プロトタイピング、を繰り返しながらアイディアを洗練させて行くとのことでした。もう一つ重要なのは、共感して一緒に作って行く仲間づくり。「ものを動かすと面白い」というメッセージを伝えるための架空のカタログ冊子、展示会で他の業界の人との交流の機会を持つ中で、色々な視点を持つ人々を巻き込みながら価値のある活動を作って行くことの大切さを教えていただきました。(ちなみにこの小冊子、環境棟570号室のIEDPプロジェクト室に置いてありますので、気になる人はコロナが明けたらぜひいらしてください。)
続いて岡田敦さん。テクノロジーよりも、ゴールから始める企画へのアプローチです。クライアントがどうなって欲しいと思っているのか?What, How, Why, Whoの中で、”Why”を一番大事にし、3回繰り返して企画の精度を上げて行く考え方。Whyから始めて、WhatやHowを固めて行くことの大切さと説得力を、理論的側面や具体的なデザイン事例、そしてご自身の関わられたシステム開発事例も引きながら説明してくださいました。そしてこのWhyの見つけ方の難しさも踏まえた上で、体を動かしながら探したり、最新の技術トレンドをフォローして、技術が実装された未来から妄想する、というHowからのアプローチ。だけでなく、自分が好きなことを増やすことで、Whyの源になること、その引き出しをたくさん作ろうというメッセージをいただきました。そして渋谷さんと同様に、異なる専門の仲間と一緒に考えることの大切さも改めて教えていただきました。「自分のアイディアを話すのは勇気がいるけれど、意外と否定されない」「臆せず伝えよう」という言葉、勇気づけられた人も多かったのではないでしょうか。
そして3人目の藤木隆司さんは、テクノロジー起点と未来思考から逆算して行く、2つの考え方です。研究論文から情報を収集することが多いという藤木さん。技術トレンドを把握した上で、さらに新しい価値を提案している論文を探し、実装に向けた情報が書かれているかにも注意しながら、面白そうな技術、使える技術を考えて行くそうです。その中から、社会文脈、技術、イノラボが目指すものの3つが重なる部分を実験して行くとのこと。具体的な事例として、Facebook AI Researchが公開したオープンソースの人の3D表面座標から、何に使えるのかを考えていき、「なりきりアート」というプロジェクトに繋がったという事例もご紹介いただきました。2つ目の「未来思考からの企画の立て方」では、アイディア発想のためのバックキャスティング(back casting)、スペキュレイティブデザイン(speculative design)の考え方をご紹介いただきました。SF漫画を未来を描く思考ツールとして使って、極端な未来社会から必要な技術を検討する、アイディア発想法の開発に取り組んだお話を伺いました。
ご紹介いただいた事例はイノラボさんのこちらのウェブサイトにも紹介されています。
人がどうやってアイディアを出しているのかを聞く機会、あまりないのではないでしょうか。課題にアプローチするための問いの立て方がある、その中で自分の思考のクセや好きなこと、どうしても気になってしまうことを見出して行くと、自分なりの企画の立て方ができて行く印象を受けました。アイディア作りだけでなく、積極的に発信し、人と繋がる場所に出て仲間をつくるということは、スタジオでの提案作成だけでなく、研究にも繋がる刺激を頂けたと思います。
改めて、この社会実験構想学の共同研究ではスタジオで生まれた提案を社会実験に育て、積極的に実施して行くことをめざしています。前回・今回のインプットも踏まえ、スタジオを履修している方はぜひ提案作成にも生かしてください。2回にわたって講義をしていただいたイノラボの皆様、ありがとうございました!