コロナで世の中どうなる?シナリオ発表会!

  • 建築環境デザインスタジオ

7月14日に行われた、建築環境デザインスタジオ1の最終発表会のレポートです。

岡部明子先生率いる建築スタジオ1では、これまで6回に渡って「コロナで世の中どうなる?」をテーマにインテンシヴにシナリオの検討を進めてきました。今回はその最終成果として、議論した結果生まれた4つのシナリオと、それぞれの研究テーマ・関心に沿った形で4シナリオの未来を構想する、2段階での発表です。ゲストとしてイノラボから木村平さん、渋谷謙吾さん、藤木隆司さん、岡田敦さん、野崎さんの5名をお招きして、コメントをいただきました。

最初にこれまでの作業の流れの説明です。個々でコロナで露わになった事象を集めて、2グループに分かれてそれらを引き起こすドライビング・フォースを掘り下げ、構造化。

分岐点として、「人は〇〇しようとする/しない」から以下の2軸を設定し、

軸1:移動性(人は移動しようとする/しない) high mobility vs. low mobility

軸2:コロナへの態度(近代科学技術を信頼・依存し、コロナを克服しようとする/しない) against corona vs. with corona

4象限でシナリオを作成しました(写真参照)。

①high mobility x against corona「超監視分散社会」
②high mobility x with corona「高流動社会」
③low mobility x with corona「肉体派社会」
④low mobility x against corona「ひきこもり社会」

ここから、7名の受講生がそれぞれの研究関心に沿ってテーマを設定し、各シナリオごとに予測される未来を発表しました。全員が4シナリオを作成しましたが、それぞれがフォーカスを当てたシナリオに応じて、3セッションに分かれての発表です。

①high mobility x against corona「超監視分散社会」
・建築物の杭:建物が大地に根を張るのかどうか?
・インフォーマルエリア:コロナでインフォーマルエリアはどこへ行く?

②high mobility x with corona「高流動社会」、④low mobility x against corona「ひきこもり社会」
・耐塩性作物:ハマササゲ(耐塩性に優れた作物)研究の需要と発達、調達はどうなる?
・スマートシティ:街・人を、誰が・何が制御するのか?
・都市・建築の空間:2軸を「感染者と非感染者の隔離」、「コミュニティの融合の有無」と読み替えると、どんな空間が現れるか?

③low mobility x with corona「肉体派社会」
・中国の農村:コロナで中国の農村の環境・文化・ガバナンス等はどう変わるか?
・個人の生活空間:4シナリオに対応する住宅設計とは?

ディスカッションでは、個々人の志向によって選ばれるシナリオも異なってくるという点がトピックに上がりました。都市化が進むなら「②高流動社会」、地方へ移住するとなると「④ひきこもり社会」が現実的か。また、技術志向の人は「①超監視分散社会」をめざすのかなど、各国・各人で選びたい志向が異なってくることが想定されますが、コロナの収束としては難しくなってきます。

格差問題や環境問題も含まれることから一筋縄では行かないものの、岡部先生から繰り返しご指摘があったのが、「重要なのは、コロナによってこれまで気づかなかった下部構造に気づいたこと」。

今回出てきた2軸の視点、また集中して取り組んだシナリオプランニングでの思考訓練は、受講生にとってきっと刺激的だったに違いなく、またオーディエンスもその発見から刺激・気づきをもらえました。皆さん、お疲れ様でした!また、ゲストでいらしていただいたイノラボの皆様、ありがとうございました!